テレワークで自宅での作業が続く今日この頃、作業中に不意に停電等が起きるとそれまでの作業が無駄になってしまうかもしれません。
ノートパソコンを使用していれば、停電時もしばらくの間作業することができますが、ネットワーク機器についてはそうはいきません。ネットワークが繋がらなければ会社とのやり取りがすべてできなくなってしまいます。
そこで今回はテレワークの要であるネットワーク機器の停電対策として、ネットワーク機器用のUPSを検討してみようと思います。


前提条件
一言にUPSといっても様々な種類や、バックアップ可能な時間に制限があります。長時間の停電に対応しようとすると、必要となるバッテリー容量も大きくなり、必然的に価格も高くなってしまいます。
ですのでUPSを選定する際は対象とする機器、必要なバックアップ時間を考慮し、適切な機器を選択する必要があります。
今回検討するネットワーク機器用のUPSとして、
- バックアップ時間は30分程度
- 価格が安価な矩形波、常時商用電源方式
とします。対象とする機器は各家庭でよくあるであろう組み合わせとして、光電話ルーターおよび無線LANアクセスポイントとしています。また、基準となる消費電力量として、各機器の最大消費電力量を使用します。
光電話ルーター | PR-S300SE | 30W |
無線LANアクセスポイント | Buffalo WSR-5400AX6-MB | 14.6W |
通常ここまでの電力は常時使用していませんが、必要であればワットチェッカー等を使用して消費電力を測っても良いかもしれません。停電の際、上記合計44.6W分の機器を30分程度稼働させることのできるUPSについて検討します。
UPSの検討
それでは主要なメーカーの機器で、前提条件に当てはまりそうな機器を見ていきたいと思います。ここでは「APC」「OMRON」「CyberPower」の3社から見てみようと思います。
なお、前提条件となる接続機器の消費電力量については、繰り上げて50Wとし、各製品ページ等に記載されたものを使用しています。
APC
ES 425(BE425M-JP)

出力電力容量(W/VA) | 255W/425VA |
ランタイム(全負荷時) | 2分 |
ランタイム(50W時) | 34分 |
コンセント(バッテリ保護+サージ保護) | 4個 |
コンセント(サージ保護のみ) | 2個 |
USBポート | なし |
バッテリ寿命 | 3~5年 |
バッテリ交換可否 | 不可 |
寸法(WxHxD)(mm) | 253.5x140.2x105 mm |
重量 | 2.95kg |
条件に当てはまるAPCのUPSの中では、出力電力容量が最小のUPSになります。このUPSでも停電時に対象機器を30分以上稼働させることができます。ただし、バッテリーの交換ができないため、バッテリーの劣化時には機器ごと交換する必要があります。
以降のUPSについても同様ですが、バッテリーの寿命については、動作環境により異なります。接続する機器(電力量)が多かったり、室温が高い場所にある場合、寿命は短くなる傾向にあります。

APC ES 550(BE550M1-JP)

出力電力容量(W/VA) | 330W/550VA |
ランタイム(全負荷時) | 2分 |
ランタイム(50W時) | 70分 |
コンセント(バッテリ保護+サージ保護) | 6個 |
コンセント(サージ保護のみ) | 3個 |
USBポート | 1個 |
バッテリ寿命 | 4~5年 |
バッテリ交換可否 | 可 |
寸法(WxHxD)(mm) | 327x139x105 mm |
重量 | 4.3kg |
「ES425」の次に出力電力容量が大きいUPSとなります。こちらの機器では、通常のコンセント以外にUSBタイプAを使用することもできます。いくつかのコンセントは、ACアダプター等を考慮して間隔が広くなっています。
また、バッテリーの交換が可能なため、バッテリー劣化時にはバッテリのみの交換が可能です。

ES 750(BE750M2-JP)

出力電力容量(W/VA) | 450W/750VA |
ランタイム(全負荷時) | 2分 |
ランタイム(50W時) | 69分 |
コンセント(バッテリ保護+サージ保護) | 6個 |
コンセント(サージ保護のみ) | 3個 |
USBポート | 2個 |
バッテリ寿命 | 4~5年 |
バッテリ交換可否 | 可 |
寸法(WxHxD)(mm) | 327x139x105 mm |
重量 | 4.6kg |
条件に当てはまるAPCのUPSのうち、最大容量のUPSになります。こちらはUSBの出力ポートが2つになります。いくつかのコンセントは、ACアダプター等を考慮して間隔が広くなっています。

OMRON
BZ35LT2

出力電力容量(W/VA) | 210W/350VA |
ランタイム(全負荷時) | 5分 |
ランタイム(50W時) | 42分 |
コンセント(バッテリ保護+サージ保護) | 3個 |
コンセント(サージ保護のみ) | 3個 |
USBポート | なし |
バッテリ寿命 | 4~5年 |
バッテリ交換可否 | 可 |
寸法(WxHxD)(mm) | 300x86.5x123.5 mm |
重量 | 3.2kg |
条件に当てはまるOMRONのUPSの中では、出力電力容量が最小のUPSになります。このUPSでも停電時に対象機器を42分以上稼働させることができます。APCの最小電力容量機種と異なり、こちらはバッテリーの交換が可能となっています。
また、2つのコンセントは、ACアダプター等を考慮して間隔が広くなっています。
BZ50LT2

出力電力容量(W/VA) | 210W/350VA |
ランタイム(全負荷時) | 3分 |
ランタイム(50W時) | 42分 |
コンセント(バッテリ保護+サージ保護) | 3個 |
コンセント(サージ保護のみ) | 3個 |
USBポート | なし |
バッテリ寿命 | 4~5年 |
バッテリ交換可否 | 可 |
寸法(WxHxD)(mm) | 300x86.5x123.5 mm |
重量 | 3.2kg |
「BZ35LT2」と形状等は同一で、出力電力容量が異なる機種になります。OMRONの製品情報によれば、同一条件(50W)
字のランタイムが下位機種の「BZ35LT2」と同様となっているのが気になります。
また、2つのコンセントは、ACアダプター等を考慮して間隔が広くなっています。
CyberPower
CP375 JP

出力電力容量(W/VA) | 255W/375VA |
ランタイム(全負荷時) | 2分 |
ランタイム(50W時) | 不明 |
コンセント(バッテリ保護+サージ保護) | 3個 |
コンセント(サージ保護のみ) | 3個 |
USBポート | なし |
バッテリ寿命 | 3年 |
バッテリ交換可否 | 不可 |
寸法(WxHxD)(mm) | 180x110x82 mm |
重量 | 1.67kg |
条件に当てはまるCyberPowerのUPSの中では、出力電力容量が最小のUPSになります。前提条件(50W)でのランタイムについては一覧等が見当たらなかったため、不明です。バッテリーの交換ができないため、バッテリーの劣化時には機器ごと交換する必要があります。
2つのコンセントは、ACアダプター等を考慮して間隔が広くなっています。
CP550 JP

出力電力容量(W/VA) | 330W/550VA |
ランタイム(全負荷時) | 2分 |
ランタイム(50W時) | 不明 |
コンセント(バッテリ保護+サージ保護) | 4個 |
コンセント(サージ保護のみ) | 4個 |
USBポート | なし |
バッテリ寿命 | 3年 |
バッテリ交換可否 | 不可 |
寸法(WxHxD)(mm) | 249x147x83 mm |
重量 | 3.02kg |
「CP375 JP」の次に出力電力容量が大きいUPSとなります。こちらの機器についても、前提条件(50W)でのランタイムについては一覧等が見当たらなかったため、不明です。バッテリーの交換ができないため、バッテリーの劣化時には機器ごと交換する必要があります。
2つのコンセントは、ACアダプター等を考慮して間隔が広くなっています。
SL550U JP

出力電力容量(W/VA) | 330W/550VA |
ランタイム(全負荷時) | 2.9分 |
ランタイム(50W時) | 不明 |
コンセント(バッテリ保護+サージ保護) | 5個 |
コンセント(サージ保護のみ) | 3個 |
USBポート | 2個 |
バッテリ寿命 | 3年 |
バッテリ交換可否 | 不可 |
寸法(WxHxD)(mm) | 324x138x70 mm |
重量 | 3.07kg |
「CP550 JP」と出力電力容量が同じUPSとなります。こちらの機器ではUSBのポートが2つ使用可能となっています。またこちらの機器についても、前提条件(50W)でのランタイムについては一覧等が見当たらなかったため、不明です。バッテリーの交換ができないため、バッテリーの劣化時には機器ごと交換する必要があります。
2つのコンセントは、ACアダプター等を考慮して間隔が広くなっています。

まとめ
以上、いかがでしたでしょうか。対象機器をネットワーク機器(光電話ルーター、無線LANアクセスポイント)とした場合、一部不明な機器もありますが、各メーカー最小の出力電力容量の機種でも30分程度は稼働させることができるようです。
その為、
- 出力コンセントの数
- USBポートの有無
- バッテリー交換の可否
といった観点から、環境にあったUPSを選択すればよいかと思います。
私個人としては、仕事等でも使用実績があるAPCの「ES 550」を選択しようと思います。